おっさん、やせてみる。

柴崎在住のおっさん、一念発起してやせてみる記録。

ちょいとそこまで歩きたいから。

数年放置していた自転車を洗って、柴崎商店街にある自転車屋に持ち込んだ。
しばらく前から、計画を実行に移すのはここだと狙っていた店だ。
大抵、


「隣の弁当屋にいます」


という看板がかかっている。


宮沢賢治かよ。



数年前までは通勤に自転車を愛用していたのだが、後輪の空気が変に抜けやすくなって、勤め先の近くにある今風のキレイな自転車屋に何度となく持ち込んだのである。
空気入れる部分の部品を替えたり、空気を入れ直したり、一通りの処置はしてみせるのだが、改善の気配がない。なんとなく、「また来たのかこいつ」みたいな気配を感じたときに見切りをつけて、以来、放置したのである。


正直に振り返ると、「お前がデブだからだよ」という目で見られているのではないかと言う自分自身の劣等感に負けたのである。


いくらなんでもそれとこれは関係ないことは論理的には説明できるのだが、人間、コンプレックスで卑屈になっているときはそんなもんだろう? 僕だけかな。


それで、"心の区切り"として、体重が70kg代になったら、今度こそちゃんと直して、また自転車に乗ろう、と決めたのだった。


(1か月で5kgはさすがに早すぎる……明日はナイタンラーメン替玉だ!)



商店街の(よく言えば)"老舗"に目を付けたのは、そういう、現代風な価値観とファッション的な目線で商売している若い店だと時間と手間を惜しんでしてくれないようなことを、ちゃんと見てくれるんではないかというロマンがあったためだ。



今日、持ち込んだ時に店番をしていたババさま(今まさに弁当屋に戻ろうとしているところだった)は、私の説明を聞くと、


「アカンかったら新車買うね?」


と、いきなりがめついところを見せてきたのでちょっと心配になった。


でもまあ、とりあえず預けて、市役所へ野暮用を済ませに。
(1時間待たされて2分で用は済んだ)


戻ると、もういかにも人生これ自転車をいじり続けてきたという風格に溢れたジイさんがタバコをふかしながら待っていた。
私の、ところどころ錆びて気の毒な空気をまとった自転車をさして、


「他はなんとかなるけど、うしろのタイヤは交換するしかないね、するかね?」


とズバリ。
ある意味、一番期待していた答えである。


私の経験では、6000円に手数料くらいは取られるかと思ったが、5000円税込即決だった。
これもなんか気持ちいい。
ニコニコでお任せして、店の奥で待たせてもらい、師匠はせっせと作業に入った。


見ると、タイヤはとうに交換完了、それで錆の部分にスプレーをかけて磨いてくれている。


「チェーンが錆びとるから最初は固いけど、すぐになじむから。
また磨いてやんなさい。なんなら来月あたりまた持っといで」


しぶいなあジイちゃん。絶対また来ますよ。


自転車が直ってありがとうだし、いい気分にさせてもらってありがとうだわ。
ジイさまの、自転車大好きそうな言動を通して、自分も自分の自転車に愛情を増すという感じ。大事にしないとな、という気持ちになるよ。
こんなに気分よく5000円を差し出したことがあったろうかと思う。



さて、それでは復活の轟天号(自転車はなんでも轟天号と呼びたい世代)発進である。



びっくり。


ジムで、負荷をかけたエアロバイクをこぐのに慣れていた事、そして、多分、積載重量が減った事も多少はあると思う。


めっちゃめちゃ軽い!


本物の自転車のペダルって、こんなにも頼りないほど軽いものだったのか?


走りすぎて怖い。
壊してしまいそうで怖い。


完全に、亀仙人の甲羅効果だよ……


心を落ち着けて、孵化したてのヒヨコを初めて触った時のような気持ちで、家路についた。



夜。


なんかざわざわして落ち着かないので、目的もなく国領あたりまで乗り回してみた。
やっぱり、しばらくは意識して丁寧に乗らないと、走りすぎるようだ。


だが楽しい。
そして、これからコイツを使って移動できることに期待が膨らむ。


もちろんBGMは高田渡だ。
世代じゃないけど。父が好きだから、一緒によく聞いていたのだ。


連休は他人事。
でも、とても愉しい休日だった。